| ■白衣観音のご帰還
若い女性の方が竜宮社にご相談に見えられました。 父親の事業のことでご相談でした。 その方のおじいさまが事業を興され、一時は財をなしましたが会社は倒産、大きな家と蔵にあった骨董をすべて処分して何とかお父様が跡を継がれました。 こんなご時世ですから父親の事業運を視てほしいとのことでした。
私はしばらくして、この方の背後に白いベールをかぶった観音様がいらっしゃるのに気がつきました。 ひょっとして、蔵の中に仏像がなかったかと尋ねますとそういえばマリア様のような仏像がありました、とのお答えでした。
「白衣観音様だ。」
その観音様はどうされましたかとおたずねすると、 父が処分したと思います、とのことでした。 「それは残念なことです。あなたの家の守護でおられましたのに。」 知り合いの骨董屋さんに引き取られたと思いますので聞いてみますとのことでした。 後日、この方がもう一度お見えになり、あの観音様が戻ってきました、とのこと。
「え、見つかりましたか。」 「いえ、観音様がご自分で戻ってこられました。」 「はぁ。」 「実は、あの観音様は父の知り合いの骨董屋さんに引き取られ、店に置いてあったのだそうですが、どうも、いろんなことが起きたらしいんです。」
そこで困っておりますと譲って欲しいとおっしゃる方がいてお譲りしたのですがその先でもいろんなことが起きる、これは大変なものをいただいた、とお客さんが戻してきたのだそうです。それで店の主人も困って、元あったところにお返しするのが一番いいだろうと言うことになってこの前、うちに持ってこられたのです。 父が、お金をお返しすると言ったのですが、 「とんでもない。」 とおっしゃって無理矢理置いて帰られたそうです。
「そうでしたか。それはそれは、かなり無茶なご帰還ですね。」 「ええ、父もこの観音様を大切にすると言っていますし、仕事も順調になってきましたのでこれでよかったんだろうと思います。」 「そうですか。末永く大切になさって下さいね。」
観音様も自分の居場所はご自身でお選びになることもあるのだなぁ、不思議なこともあるものだなぁということでした。
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